双子パパ形成外科医の台湾留学日記

30代の形成外科医が、台湾に留学することになりました。

台湾留学29日目 ファーラー法

今日は水曜日なのでルー先生の手術見学です。ルー先生、今日なんと5件オペあるねん・・・(ルー先生に関しては最近驚かなくなってきた。1日ですごい数のオペするからね。)えーっと、子供の母斑とり(全身麻酔)と、口蓋裂と、口蓋裂と、スカーリビジョン?と、OGS・・・多重影分身の術が必要だってばよ。笑

口蓋裂が2件あるのだがいかんせん口腔内が見えんからな〜と思っていたら、なんとラッキーなことに、他の手術の影響でいつもルー先生についているレジデントとフェローがいなかったので、口蓋裂の手術の助手に入れることに。ラッキーすぎる!めっちゃ見える。口蓋裂といえば、Twoーflap法とFurlow法が主流だが、ルー先生はこのFurlow法をする。見たことがなかったので、非常に勉強になる。ここをこうして、ほうほう、んでここをこっちね。なるほど。キーとなるポイントを教えてくださる。原法の2層の方法ではなく、3層に剥離してIntravelor  Veloplastyを行っている。

色々手術が終わって、OGSが始まったのは15時半ごろだった。本当にすごい、この時間からするんやねと静かに心の中でツッコンだ。今日は、2級の下顎アドバンスです。

なんだかんだで、20時半ごろ終了。バスが一気に激減して行く時間。晩飯を食うにはリンコウヘ!ってことで、ジェアとチューイとリンコウヘ。ちなみに9時をすぎるとかなりの店が閉まる。あいてても掃除をしだしていて、もう終わったよなどと言われる。ジェアが朝方までやってる屋台みたいなとこに行こうとのことで、自分じゃ絶対行かないところへ。笑 道路の脇にあって存在は知っていた。いつもちょっと怪しいなと思いながら通り過ぎていたところだ。小さな屋台や店がぐるっとあって、中央にテーブルが置いてある。自分の好きなものをチョイスする。チューイがマンダリンがわかるので、いろいろ教えてくれる。結局モツのラーメン?とルーロー飯にした。美味しかった。

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帰りはバスの中でジェアのカンボジアの話。自分の直属の上司がかなりお年だが、全く自分に口唇口蓋裂を教えないとのこと。こういうのって本当、世界中にあるんやなと認識。日本もザラだぜ。ただ日本とカンボジアの違いは、人口が減少しているか増加しているか。カンボジアのジェアの病院は月〜木まで毎日唇裂口蓋裂の手術をしていて、それでも患者は絶えず待ちまくっているらしい。そして、リビジョンケースなんて本当にたくさんあるとのこと。日本ではどんどん減っている口唇口蓋裂だが、カンボジアでは人口増加が続くかぎりブルーオーシャンなのだ。数年後ジェアに会ったら、すごい手術も上手くなって(当たり前だがある程度は手術件数に比例して上手になる)スペシャルなドクターになっているだろう。

何かを専門にするとして、少なくとも毎週くらい手術がないと、技術向上はもちろん技術の維持だけでも難しいだろう。ましてや進化させて新しい方法となると困難を極めるだろう。数が少ないいうことは、フィードバックもかけづらいからだ。ルー先生の今日の言葉をふと思い出した。OGSをしているとき、いつもルー先生は“私はOGSは専門じゃないの。年間20〜30件くらいしかしていないし、夏に偏っているからコンスタントってわけでもないし。OGSに関してはビギナーなのよ“と言う。20〜30件でビギナーって。でも確かに他の口唇口蓋裂の手術の中の割合で考えると、ルー先生的には少ないのだろう。日本って・・・なんだかな〜っと思ってしまった。いつか、(と言わず今すでにそうかもしれないが)日本から発展途上国と言われている国へ、いいドクターを求めて日本人の患者が外へ出ていく時代が来るのかもしれない。

ちなみに、ジェアにその上司が唇裂口蓋裂をさせてくれないなら、せっかくここに来た意味がなくなるから、違う病院に行けば?というと、僕ができるようになったら、その人は多分辞めさせられるよ、誰にも教えてないのが病院の経営側にバレていて、病院側も代わりにできる人がいるならその人をクビにしたいんだ。と。なるほど。ジェアの押し出し勝ちになることを祈る。

 

そして帰宅したら、なんか腹がゴロゴロする。・・・屋台の影響か?それとも雨で寒かったせいか?(台湾はまあまあ雨が降る。そして降ると寒い)