双子パパ形成外科医の台湾留学日記

30代の形成外科医が、台湾に留学することになりました。

台湾留学72日目 チャージ料

今日はヤオ先生3件OGS。そのうち1件はワン先生がやる予定。7月8月、毎日オペ室はミッドナイトまで稼働している。マジでこの病院どうなってんだ???

 

ヤオ先生のオペは難なく終了。14時半ごろだったと思う。

そして、別部屋へ。2件目はワン先生がはじめているはずだから3件目かな?とか思っていたら、なんと、ワン先生のはまだ始まっていなかった。予定では午前に出す予定だったがどうやら患者の方の準備ができていなかったのと、ワン先生が昨日リン先生とのオペで今朝の3時ごろまでオペをしていたことがあい重なり、だすのが午後になったとのこと。3時て。ちなみに昨日のリン先生はOGS2件で、2件目が難症例の先天的な疾患のある症例だった模様。

そりゃ3時までやったら、疲れるわ。ちなみにそのリン先生は朝から本日予定されてる2件のOGSに取り組んでおられる。

私は一度、サージャンの寿命と手術時間についての研究が必要と考えた。絶対この人たち、寿命を縮めてるわ。毎日毎日24時前後までオペして。急に突然死とかならんか心配だわ。

というわけで、疲弊してるワン先生の代わりに、ヤオ先生が3件目を出す前に、2件目をやり始める。早い早い。あっという間に骨切り完了。そして、ワン先生に交代。そのままヤオ先生の指示でワン先生につかせて頂く。

ワン先生は女性のサージャンで、お子さんが1歳2歳とまだ小さいらしい。今日は何時になるかわからないから、母に預けてきたとのこと。保育園代が高いか?という話になり、日本だと2人で12万くらいかな?というと、2人でなら安いんじゃない?こっちは朝7時から夜7時で1歳児は10万よとのこと。

日本人は2人目がディスカウントされることを説明。どちらにしろお金はかかるわねと会う話になった。

僕に子供が3人いることはすでに広まっているみたいで、あなたの奥さんも本当に大変ね?と。育休や保育園の話になる。育休ってなんで給料から減額されるのかしら?とみんな思っていて、僕もそう思う。遊んでるわけじゃない(どっちかというと仕事より大変な気がする)から満額出せよと思ってしまう。

さてあれよあれよという間に手術はフィニッシュへ。ヤオ先生がチェックチェック。ジェニオはもう少し伸ばそうとのことで再固定。

 

ちなみに、チャングンには大量の自費のケースがあるが、なんとドクターによって値段が違うらしい。逆にいうと当たり前でもある。

出だしの板前の料理と、ミシュラン3つ星シェフの料理が同じ名前だからといって同じ値段な訳はない。

ヤオ先生はサージカルフィーは他の先生より高いとのこと。(どの程度差があるかは不明)

自費の醍醐味でもあると思う。僕もこの先生オペうまいと思ったら、高い金払っても受けたいもんなー。ヤオ先生はあんまり高いお金取るのもどうかと思うよとは言っておられた。だが、売り上げが下がると病院から文句を言われるのは日本と同じようなので、病院側のいろんな戦略があるのだろう。

日本の美容も千差万別だろう。安いとこから高いとこまで。果たして、自分たちのオペに見合う金額とは。人件費や様々なコストを吸収しつつ、ブランド化も必要だろう。ユニクロをめざす?エルメスをめざす?(両方真似をすることのできないスーパートップではある)

はたまたオリジナルの道をさがす?

万人受け?ニッチ産業?

そう思うと戦略戦略なのだ。チャングンだって大きく見れば企業。いろんな作戦をたてて、これだけの患者を集めているわけだ。

 

そして考えたことがもう一つ。保険診療は誰がやっても値段が同じということ。あわよくばスーパーテクニカルをお持ちのスーパードクターの手術を格安で受けれるし、はたまた、でだしの不格好極まりないヤングサージャンのオペを受けることになるかもしれない。

なんだかそう思うと保険診療の方が不思議にも思える。テクニカルのレベルに何の敬意も払っていないのだ。逆に言えば、若手には良い制度かもしれない。(ちなみに若いからオペが下手だとは言っていない。わかりやすい例えをしているだけで、若くて腕もいい医者なんてしぬほどいる。逆に年寄りだからいいとも限らない。アップデートを怠り、化石のような手術をしている先生も腐るほどいる。要は人による。)

 

ま、保険診療保険診療でものすごく良い制度なのですよ。改善は必要だろうが、みんなが健やかに探していくためにね。画一的に安く医療を提供する日本独自の制度ですね〜。安いんだから患者の方もなんでもかんでも要求できんわなー。

 

全然関係ないけど、アメリカとか、形成外科への縫合依頼はアディショナルフィーが発生する模様。当たり前か。専門医に特別にお願いするんだからそらお金も発生するか。日本もいつか、形成外科医縫合とかって保険点数項目ができると、形成外科の地位が病院内で上がるかもしれん。

でも日本で、そういうのができたら、病院がお金稼ぎに必死になって、あらゆる外科系(メジャー、マイナー含め)に"縫合は形成外科に依頼しなさい"とかいう命令が下されて、形成外科外来がそんな患者でいっぱいになって、形成の先生たちみんな嫌になって辞める、という暗い未来が待っている気がする。www

患者さんが思ってる1000倍くらい、病院はお金を稼ぐのに必死だ。コストが半端なくかかるからねー。

 

さて、話を戻しまして、

 

そしてふと、思った。このサージャンに追いつくことがあるだろうか?

月20件以上のOGSをこなし、とどまることなど考えるべくもなく、フィードバックもしっかりかけるし、改善改善で、どんどん進化する。

 

なんか最近エベレスト山の麓にいて、山脈を見渡してる気持ちになるんよー。

エベレストでけーーーーって笑

いやー途方もない道に迷い込んでしまったなー笑