双子パパ形成外科医の台湾留学日記

30代の形成外科医が、台湾に留学することになりました。

台湾留学24日目 医者の6大要素

今日も手術室へ。なんだか寝つきが悪い。朝は早く起きてしまう。朝からジムへ行って少し走って頭をスッキリさせた。

ロー先生の手術室へ。今日は粘膜下口蓋裂の最近やっている方法のビデオを撮るらしい。ここの先生たちには優秀なスタッフがついていて(医者ではない)、さささと手術室に来て、撮像された映像の編集などをしてくれる。

臨床しながら研究をするには。これは大きな課題だと思う。正直、日本の先生はどちらかに大きく偏っている場合が多いだろう。そして臨床やってて研究なんてって先生は大概、研究している先生を馬鹿にしている。(特に外科系。形成外科ももれなく笑)「あいつ研究ばっかで全然臨床できねーんだよ。手術全然やってないし、うまくないし」ってやつ。こういう人って大体自分で手術うまいと思ってるんよな笑 なんかのコンプレックスなんかな?アホなんかな? 研究している先生も根性がねじ曲っている場合「臨床の先生たちってさ、論文1本も書けないの。英語論文なんて皆無だよ。統計のことも分かってないし。インパクトファクターが・・・」なんてザラだ。どっちもバカなの?と僕は常々思っている。そもそもどっちが偉いとかはない。(おそらく何か恐ろしいコンプレックスを抱えてるんやと思う。)

しかし忘れてはならないことがだ、この2つは実は繋がっているのだ。(そもそも分けることは本来できない・・・はず。)

臨床のメリットは、もちろん目の前の患者さんを救うことができる。1番はこれだろう。軍隊でいう実働部隊といったところか。とりあえず誰かが考えてくれた治療方法をひたすら勉強して、それを施す。研究してくれる人たちが発表する論文を読んで、教科書を読んで、それを実際の患者に施す。つまり研究者にお世話になっていない臨床医なんて一人もいないのだ。

研究者のメリット、それはまだ未知の事を調べて、解析して、発明して、検証して、論文にして、みんなに広めて、やってもらう。それがビッグインパクトなものなら、一気に多くの患者さんを救えるだろう。

あれ?どこが繋がってるんやって?笑 研究者の課題・疑問とはどこから来るのか。 もちろん臨床から来るのだ!!!つまり研究者で臨床医にお世話になってない人なんていないのだ。臨床で、これ治せないな、こんな合併症が起きてしまった、こんなデバイスがあればいいな。そういった疑問が研究の対象となり、より改善・進歩を目指してここまでやってきたのだ。

というわけで、本来、医者というものの要素を僕はこう考えている。

Doctor - Resercher - Teacher - Inventor - Manager - Artist

医師であり、研究者であり、教育者であり、発明家であり、経営者であり、芸術家である。

ちなみに教育者とは当たり前だが、自分の知識や技術をいかに下の世代へ継承したか。これに限る。(もちろん大学病院勤務の先生方はそもそも医学生への教育が課されている。)僕はひとつの判断要素として、ご高名な先生がいた場合、その先生に後継者はいるか?を意識している。そもそも自分の後継者がいない人ってのは、何も残さなかったのと同義ではないか?(もちろん患者さんへの還元は尊敬に値する)例えばその先生が辞めてしまって、下の世代がまた一から始めるというのはものすごく効率が悪く、これでは世界のスピードについていけない。(ここでの後継者とはクリニックや病院を継ぐなどそういう意味の継承ではなく、手術技術や治療のコンセプトなどの継承をさす。)

発明家とは、無から有を具現化する特殊能力だ。無といっても過去の偉大な方々が様々なヒントを残してくれているのだが、それでもそこから新規に有を生み出すエネルギーには感動する。残念だが私は持ち合わせてなさそうだ。

経営者。これは開業医さんや大学病院の教授などが当てはまるだろう。人を動かすのも才がある。よき経営者のところにはそれを求めてよき人物が集まるだろう。また、個人個人がすくなからず、自分の人生の経営者である。これは揺るぎようがない。自分は何がしたくて、どういう人生を歩みたくて、どうそれをマネージメントするか。どこかに妥協は必要だろう。予期し得ない出来事も起こるだろう。それをどうマネージメントするか。

そして芸術家。これは外科医、特に我々形成外科医において重要な項目かもしれない。何を美しいと感じ、それをどの程度の人たちと共有できるのか。それを認識することが非常に大切だ。これは非常にセンスを要する問題であり、常に課題として念頭に置いておかなければならない。

誰しもがこの要素を持っていて、これのバランスが個人個人で違う。そういう認識だ。(ちなみに人格やコミュニケーション能力などはまた完全に別です。)

自分はどうかな〜各5段階として〜これからも進化するとして〜、3-2-1-0-1-1。まだまだ進化の余地はありそうだ笑

f:id:futagopapa_prs:20240525155749p:image

 

チャングンのクラニオチームは、臨床と研究をうまく繋いでいる。ここの先生方がされているのは主に臨床研究だが、別に巨大な基礎研究ラボもあるとのことだ。研究は非常に時間を取られるため、アシスタントが優秀なのは非常に素晴らしいことだ。またスーパーハイボリュームセンターで、症例数が非常に豊富なのも研究の一助となっている。日本は病院が分散しすぎていて、患者がどこでもそれ相応の治療が受けられる設定にしてあるため、各病院での症例数が少なく、研究までには至らない。これも日本医療の大きな欠陥といえるだろう。世界では各国のハイボリュームセンターが日本の何倍もの臨床・オペをこなし、研究し、医学を進化させてっている。

 

オペが終わり、今日はたつとゆーやと小籠包を食べにいった。ゆーやは今日台北で外来だったのですでに向こうにいる。たつと急いで台北へ。しかし台湾のバス運転手は、まあまあ意味がわからん。たつがバスステーションでトイレに行ってくるとのこと。19時5分発なので後10分ちょっとある。行ってらっしゃいと。そしてバスの目の前で僕は待っていた。数分すると、運転手が乗るのか?と中国語で聞いてくる。乗るというと、運転席から早くとジェスチャーで言われた。入り口から入って、運転席の運転手に「でも友達を待っているんだ」と言う。すると・・・「降りろ」と言い出した。ん?そして降りると、なんとドアしめて出発し出した。え〜〜〜〜!!!!たつが向こうから走ってくるのが見えた。まだ出発まで5分以上あるのにそりゃないぜ。中もガラガラやし。もう一度ドアに向かって開けろとジェスチャーで言い続ける。なんとか止まって乗せてくれた。クソッタレ。

今日は日本人3人で日本人街にある金品茶楼という店に行った。たつが調べてくれた。非常においしかった。その後は、たつが日本人街を案内してくれた。まじでなんでもあるなといった感じ。あとエッチな店へのキャッチがすごい。(皆さん気をつけて笑)お金持ちの日本人や外国人が入り浸っているとのこと。

そこからリンコウに戻る。すると、いつものデューイ、ジェア、ユーラン、チューイがいた。台北のでっかいナイトマーケットに行ったとのこと。牡蠣のオムレツを食べたり、お餅も食べたよと。デューイはとても音楽付きなのだが、なんと台北のミュージシャンのCDを買っていた。

今日は8割くらいドゥーイの言っていることがわかった。進歩進歩。